デートで行った水族館では、

イルカが子供を産む様子のビデオが、

ショーの前にスクリーンで放映されていて

それを見た私は、

『イルカだって、ちゃんと子供を産めるのに、こんなにも感動的なのに、一体私は、何なんだろう』

そう思ったら、

泣きそうになったけれど

私が思った言葉そのままを

今、志保はこう思ったでしょうと、

見事に彼に指摘されて、

涙さえ、出なくなった。


多分、こういった事が

死ぬまで続く。

ふとした瞬間に、思い出す。

頻度は少なくなっていくだろう。

今の私は、もう子供を

妊娠する気にもならない。

それ以上に、聡との間でなければ

子供はきっと私には出来ないと思う。

これも私の勘ではあるけれど

私の勘は強いから多分当たるだろう。

もしも、勘をはずして

私が子供を産んだのなら

自分の罪が、きっと

再び心によみがえる。

きっと産まれて来た子供を見る度に。