あれは、衝動だった。

仕事が終わって、一人で過ごす夜。

「ワインの味も分からなければ、オススメなんてできないでしょう?」

と最もな指摘を上司から受けた私は、

どうやらワインを飲みすぎた。

突然、プチンと切れた。



「薬。薬が飲みたい・・・・。」

そう思ったら、もう止まらなかった。

部屋の中にある、頭痛薬、睡眠薬を取り出して、

全部の錠剤を出した。

精神が高ぶって、落ち着きたい時

眠れない時、

もう逃げたい時、

全てを俯瞰するために使った方法。



バファリンを1箱くらい飲んだところで、

人は死なない。致死量はもっと要る。

私の心が、どこか病んでいる事は、

今に始まった事ではなかった。

社会人になってからは、集中力が必要だから

流石に多用はしなかったけれど。



私は、

私の傷を誰かに見せびらかしたいわけではない。

見せ付けたいならリストカットをするのだろう。

人は誰だって傷ついて、生きる。

心療内科にお金を落とす程馬鹿らしい事はない。

只、Tripしたいから、全部飲む。




『まだ、足りない。』