「世界を変えてえの?」
話の流れからしてそうなのかと思ったが、ラグナは首を振る。
「“願い”があるなら、アフロディーテを解読する前にネミュレシスの指輪に頼るだろう」
己にあざ笑った男の手が落ちる。
「なんだろうな、俺には“目的”(願い)がないんだ。ただ今はアフロディーテを持っているから、解読しようと試みている。
全てのページの魔術を解読――使えるようになった後の目的なんかない。
本当に……何もない。ネミュレシスの指輪でアフロディーテの魔導書を解読してもらう願掛けだってする気もない。
そんな呆気ないことをすれば、俺の“やるべきこと”がなくなるからな」
何もないという奴は、ひどく虚ろに見えた。
人間は生きているから目的(願い)を持つ。それがないとは――だったら、ラグナは“なんで生きているの”か。


