言われたラグナは――ああ、少し嫌な顔をしてる。
「……、世界を壊すのは簡単なことだ」
「ラグナ……」
「有を無にするのは案外簡単なんだよ、壊すだけなんだから。ちょっとした力があるだけでいい。積み木の城のように、たった一部分を破壊すれば、城(全部)は壊れる。
ただ、有を有のままで世界を変えることは出来ない。アフロディーテはそれすらもできる魔術が書かれているんだよ。
壊すこと以外で、世界そのものを変える魔術が」
「じゃあ、お前は……。解読したアフロディーテを使って、“何”がしたいんだ」
「……」
ラグナの足が止まる。
眼帯をした左目に手を置き、しばらくぼうと――銅像のように立ち尽くした。


