【放電】 グローブの拳が俺に向いている。 頭上からは危機が迫るのを細胞単位で感じて――同時に。 【流電、三子、収縮。対象を代えよう】 俺を止める一つの手。 一瞬、肩を掴まれただけで足が止まる。 それだけ恐怖した、足がすくんだんだ。喉が一気に渇くほど、身震いして後ろを振り返れば。 「ラグ、ナ……」 「名に偽りなしだな、君は」 腕にあるポックルさんを守るようにその黒い外套で包み、平然と“雷を集めていた男”がそこに立っていた。