もう限界だった。
学園内での戦闘が御法度ぐらい知っている。殴るだけの暴力だって、ここでは死活問題にもなる可能性があるし。
そも、俺の拳だけで奴らに勝てるとは思っていないが。
「身の程をわきまえろ、てめえらは“魔術師”なんだからよ!」
赤髪の奴に近づく。
拳を振り上げながら走るが、赤髪はすでにグローブの帯電を終えていた。
俺がぴーちくぱーちく喋る間にきれたらしい、はっ、エリートさんはどうやら俺なんかに魔術を使うようだ。
すわった目がやる気満々。
――でも、俺とて同じ目。
殴りとばすつもりだった、雷を受けようとも。不可能だって分かっていても。
許せないもんが、そこにいたから。


