(――) ある記憶が彼には残った。 自分よりも非力なくせに、自分よりも果敢な少年の記憶。 本来、大きな自分を少年は支えると言った。 この罪にまみれた自分をだ。 きっと自分の過去を知れば少年は決別するだろうが――また、支えてくれるのだろうと彼は思う。 何せ、実際に彼は少年のおかげで救われたのだから。 小さな救いでも、小さな支えでも、小さな出来事でも、それでもだ。 「会えたことを誇りに思おう」 彼の記憶のページにある少年との物語がある。 とても小さく、でも果敢な物語が。