件の泥人形には目ができていた。ぎょろりと眼球が出てきて瞼に埋もれる。
肌色に顔部分が染まり、整い始めた顔に思わず「え?」の声が出た。
ラグナ、だった。
見間違えるはずがないし、見本も隣にいる。見本とまったく同じラグナの顔に奴はなり、髪の毛の長さ量、服装までも泥から形成していた。
三秒ほど、まばたき二回をしてみれば、女神像の前に立つのはもうひとりのラグナだった。
ただラグナよりも目に力があり、口元を常に皮肉げに綻ばしているところをみると随分と表情豊かな人形だった。
「あれが、“無限たる創世結果”。その場にいる者の中で一番強いものを媒体にし姿を変える人形だ。しかもか」
ばさ、と人形から黒い羽がはえた。髪も軽く伸びて、切れ長の目が更に力ある目に。背も僅かに伸びて、にこやかに笑う口元が全ての人間の警戒心をといてしまうような優しい佇まいで。
「媒体以上の存在に奴はなる。外見も力も。故に今の奴は俺よりも強い」


