「んな礼なんていいって」


「キュー、キュー」


鳴くポックルさんの目に俺は映っていなかった。


なんか疎外感を味わうぞ、これ。どうやら、ポックルさんが礼をしたいのはラグナだけらしい。


「キュッ」


と、ポックルさんが茂みから何かを取り出した。


己と同じ大きさ――小さな丸い麻袋だ。それを持ち上げて、どうぞとラグナに言っているようで。


「なんだ?」


受け取ったラグナは中身を見て、ハテナを浮かべていた。


俺も横から覗く。


麻袋の中身は黒い粒がいっぱいつまっているだけだった。


「キュー」


ばんざーいを続けるポックルさんを持ち上げるラグナは、手のひらに乗せて中身の正体を求めていた。


「キュッ、キュ、キュー」


「ほう、また珍しいものを」


「なんだよ、いったい」


「種らしい」


「種?花のか」