「気にしてなどいない。あなたの意思でないのも分かっていたし、かしこまる必要もない。……、俺は“世界の終焉たる災厄”(ラグナロク)ではなく、“神々の黄昏”(ラグナレク)だ」
「これはまたご無礼を……。アフロディーテが移動されたとは、こんな世界では耳にも入らずに」
「二度言う、かしこまる必要はない。俺はアレと違って礼儀にうるさくはないし、最強でもないからな」
「そう、ですか……。新しい方は随分とお優しいのですね。ラグナレク、あなたの質問に答えましょうか」
一通りよく分からないことを話され、本題に入る。
彼女が拘束されたままなのが気になるが、肌をさらさない黒絹はいいものだった。
「私は、売られた身なのです」
「な!」
「売られた?召還物の売買などしようが」
「できるのです、この世界は。魔法と科学が発展したこの世界はね」


