車椅子。電動のもので乗っている人だけで運転できるハイテクなものだ。


そこに座るのは白に身を包んだ女。


ウェディングドレスだった。一切の露出はないが、煌びやかなドレス。


豪勢な帽子までして、顔の半分は見えないが。


ある程度、彼女が近づいたところであることに気づく。


左腕がなかった。


右手のレバーで車椅子を運転しているようで、左腕の袖は紙みたくピラピラになっている。



両足がなかった。

ドレスのスカートが潰れたようになっているのだから。


右目がなかった。

なかったと思ったのは、右目から頭にかけて包帯をきつく巻いていたから。



ないないだらけの欠損者。


なのに、幸せそうな顔で彼女は俺たちに近づいてきた。