走り向かう先生がステッキを俺に向けて。
【ソードダンサー】
召喚を行使した。
“五本鋭利”(ソードダンサー)は刺し貫くモノとして代表たる剣たち。
それが俺に向かって飛んで――いや。
【三十二番、矛盾知らずの結界】
全身が警告(ひめい)を出すような魔の音色が背後からした。
がき、と鉄が床に落ちる音。
くっ、と苦い顔をする先生が立ち止まりステッキを向ける。
「どこのモノでしょうか、私の生徒に何をする気?」
「……」
沈黙してても、完全な恐怖――幽霊(いないモノ)が俺の緊迫を凍らせていく。
振り向けなかった。
だからソレは、勝手に俺の横に移動する。


