首筋に刺さるトゲ如きでは白き獣は死なず、痛みに暴れるというよりは、己が体に乗ったままの獲物を落とそうとする暴れだ。
首を振り、体を揺さぶる度にラグナは落ちそうになるが――刺したままの槍に捕まり、踏ん張る。
『ガウッ』
見かねた黒い獣が向かう。
白い獣もそれが良かれと思ったか、『この獲物に飛びかかれ』と表すがように動きを止めた。
助走をつけ、黒い獣が飛ぶ。
口を開けたまま、白い獣を飛び越えるついでにラグナを捕食するようで。
【循環、風よ】
寸前、ラグナがまた飛んだ。
目を見開き驚いた黒き獣、獲物を食えずにしかもか。
『――』
白い獣とぶつかった。
ゴロゴロ二回転した黒と白。
丸太のように、しなやかな毛と肉が地にこすれて二体とも見事に横転した。


