――ああ、これか。
闇の中に自分がいるイメージ。
足ついているはずなのに、自分(体)が中(闇)に濃縮されたみたいだ。
夢の中を歩く感覚。
俺はそこで文字を見て、手を伸ばす。
「く、る……てぃ……っ」
掴みかけた文字がばらけた。
霧散し、俺は伸ばした手を引いた。
何がなんだか分からない。ただの暗闇に取り残された気分は恐怖だけで。
『コットン君っ』
金切り声。先生だ。
何をそんなに焦っているのかは、闇(ここ)じゃ分からない。
『目を開けなさいっ』
ああ、開ければいいのか。
――でも、どうやって開けるんだっけ?
暗闇に呑まれていく。
「……ぁ」
皮膚、毛穴から影が入り込み、血管を流れる血を汚色していく。


