私は震える手をぎゅっと握りしめて、そのまま玄関のドアを閉めた。
乱れそうな息を押し殺して、隣の自分の家に入る。
私は馬鹿だから。
きっと何にもわかってなかった。
翔ちゃんはいつも、いつでも誰よりも私に優しかった。
その言葉や態度が優しくなくても、私の事を決して突き放したりできない翔ちゃんは…誰よりも私に甘い。
「…加奈?そんなとこにいないで家に入って頂戴よ」
お母さんの声が右から左へ抜けていくようだった。
私が翔ちゃんに一番したくない事を無意識にしていたんだ。
私は今、翔ちゃんの行く道の…
邪魔をしてる。

