数秒後、私はふぅん、と笑ってやった。中々面白いことを言う奴だ、なんて。

「何それ、溜まってるって訳?…笑える」

 私が軽くからかってやると早希は唇を真っ直ぐ結んで呆れた様な顔をした。でも彼は綺麗なままだった。
 反応の薄さに苛立った私(何故だろう、判らない)は忌々し気に舌打ちをして言葉を続けた。

「ふざけないでよ、私は…道具じゃないんだけど」

 道具ねぇ。そんなようなことを早希は呟いてから私の身体を体育館の壁に押さえ付ける。何と無く抵抗をしてやっても構わなかったけれど、何だかそちらを盛り上がらせてしまってもな、なんて考えて私はされるがままに身体から力を抜いた。


「…痛くしないでよ。アンフェアだから。ていうか生でされると流石にお金貰うから。あと…私のこと女だと思わないでくれる?女として抱かないで。…あぁ、犯さないで、の方が正しいか…ていうかちゃんと私っていう人間とセックスしてるっていう自覚持って。判った?」

 息継ぎなんてしなかった。私は台本を読んでいるようにすらすらと一息にそう言い切った。我が儘ではなく、常識的なことだと私は思う。