「スノードロップ、
春を告げる花と言われています。
花言葉は希望。店長が好きでうちの店は毎年取り寄せているんです。」

「春を告げる花か・・・。

気に入りました。これにします。」

俺はその花を買い、家に帰った。




家に帰ると、彼女が黙々と洗濯をしている姿が目に入った。

俺は花が見えないよう後ろに隠し、彼女に話しかけた。


「凛。」

「あっ、お帰りなさい。どこへ行ってたんですか?」

俺は気に入ってもらえるかどうか自信がなかったが、
凛にスノードロップを差し出した。

「きれい。これを買いに行ってたんですか?」

「そう。」

凛はどうやら気に入ってくれたようだが、
俺はこれを買ってきた理由をどう説明しようか迷っていた。
とにかく早くこの花を渡したくて理由を考えていなかったのだ。

とっさに俺は考えがまとまってもいないのに口を開いた。

「凛がこの部屋に住むことになった記念に・・・。
2週間だけどなんだか俺の方がお世話になりそうだしね。」

即興で考えた理由としてはなかなか良かった

「じゃあ、これの花、私に?」

「うん。」
俺は照れながら返事を返した。

「わぁ、嬉しいです。」
凛が本当に喜んでくれているのが伝わり、俺も嬉しくなってきた。