こんなに手が挙がるのは、慶ちゃんの授業の時以外にない。 「それじゃ、とりあえず木村さん」 「ズバリ! 彼女はいますか!?」 当てられた子はズバッと夏川くんに訊いた。 …他の子も、そこが一番知りたいところなんだろう。 「いませんよ。彼女は」 その一言で、また女の子たちが騒ぎ立てる。 “彼女は”を強調して、私の顔をちらりと見た。 “彼女はいませんけど、フィアンセならほらすぐそこに”なんて言いたいのか。