「ブータン、腕疲れるから早くしろってぇ」

晴弥は軽くため息をつく。

あ、怒らせちゃダメダメ。

「はーいっ!え……と。サリンちゃん、部屋に入るね。どんな服持って来たらいいかな?」




これといって敵対心むき出しになんて、喋ってない。

今でも晴弥にワンピースを持ってもらって、

すごく近い距離にいるサリンちゃんを見たら……悲しくなる。

でも、ふたりはイトコだし。

気にしないんだ。そう、思って笑顔で話しかけたのに。




「1着だけベッドに置いてる。部屋に……大切なモノ置いてるの。盗まないでよ?」

うわっ、ひどーいっ!

「泥棒みたいに言わないでよ。取らないもんっ!」

「サリン、そういう言い方、よくないぜ?」

「はぁい……。ごめんなさい、晴弥ぁ」




晴弥に謝ってはいたけど、

サリンちゃんは私を見ると、

フフッて不敵な笑みを浮かべていた。