「早く降りろ。つーか、俺の腹に回した腕を一刻も早く離せ」 「ご、ごめん!バイクに乗ったの初めてで怖かったんだよ」 僕は慌ててバイクから降りて必死の言い訳をした。 バイト先を出て「乗れ」と言って渡された黒いヘルメット。 バイクに乗ったことのない僕は、あまりの恐怖に龍馬の体にしがみついた。 でも、恐怖は次第に心地よさに変わっていった。 夜の街を風をきりながら走る爽快感。 顔に当たる少し冷たい風が妙に気持ちよくて。 今まで感じたことのない気持ちに胸が弾んだ。