「もう無理です……」


バイトを初めてから数日で辞めていく奴が多かった。


初日に客と揉めてボコボコにされた奴もいたし、


逆に客にブチ切れて殴り傷害罪で逮捕されたバカもいた。


店が一時期営業停止を食らったせいで、俺はその間の昼食をカップラーメン一つでしのぐハメになった。



「……根性がある奴か……」


俺の周りには該当する奴はいない。


根性がある以前に、初日から客と揉めそうな奴ばかり。


短気な俊平なんてもってのほかだ。


「誰かいねぇかな……」


そう呟いた瞬間、俺の頭にある人物の顔が浮かんだ。


「……そうだ、あいつでいいじゃん!!」


あいつなら客と揉めることはないだろう。


一発二発殴られても、メソメソ泣くだけで問題解決だ!


最高の適任者を見つけた!!



思い立ったが吉日。


「おーい、美空ーー!」


俺は全速力で美空の元に駆け寄った。