「ありえねぇー……なんか一瞬にして食う気が失せた」
クレープ屋の店員=若くて可愛い女の子
それに加えて、巨乳ならなおよし。
そんな俺の勝手な方程式はすぐに覆(くつがえ)された。
クレープの生地を焼いていたのはハゲ上がった親父で。
親父が動く度に額にかいた大量の汗がクレープ生地にポタポタと垂れた。
でも、美空を誘った手前食わないわけにはいかない。
現に美空は「美味しい」と天使のような笑顔を浮かべながらクレープを頬張っている。
クソッ。
仕方なくクレープを口に含む。
「お、これ案外うまいな」
親父の汗が混じったクレープの味は絶妙で。
親父の汗が入っているからこそ、この味なのかもしれない。
……いや、それはないだろ。
オエッ。なんかすげぇ気持ち悪くなってきた。
俺は吐き気を押さえながらクレープを口に運び続けた。



