Black★Joker【完結】



「ありえねぇー……なんか一瞬にして食う気が失せた」


クレープ屋の店員=若くて可愛い女の子


それに加えて、巨乳ならなおよし。


そんな俺の勝手な方程式はすぐに覆(くつがえ)された。


クレープの生地を焼いていたのはハゲ上がった親父で。


親父が動く度に額にかいた大量の汗がクレープ生地にポタポタと垂れた。


でも、美空を誘った手前食わないわけにはいかない。


現に美空は「美味しい」と天使のような笑顔を浮かべながらクレープを頬張っている。


クソッ。


仕方なくクレープを口に含む。


「お、これ案外うまいな」


親父の汗が混じったクレープの味は絶妙で。


親父の汗が入っているからこそ、この味なのかもしれない。


……いや、それはないだろ。


オエッ。なんかすげぇ気持ち悪くなってきた。


俺は吐き気を押さえながらクレープを口に運び続けた。