Black★Joker【完結】



―――……

「……あたしを誘った理由って、これ?」


「そうそう。これこれ」


お目当ての場所に着き、美空を単車から降ろしてメットを受け取ると、俺は大きく頷いた。


最近できたばかりの小さなクレープ屋。


ずっとここのクレープを食おうと思っていたものの、男一人で入るのは気が引ける。


男数人で入るのはもっと気が引ける。


そこで今日、女連れなら抵抗なく入れることに気付いた俺は美空を誘った。


「クレープ食える?」


「食べられるけど……龍馬って甘いもの好きなの?」


「好き。特に苺クレープが」


「何か顔に似合わないね?」


「別に顔は関係ないだろ。早く食おうぜー」


苦笑いを浮かべる美空の腕を引っ張ると、俺は甘ったるい匂いのする店内に足を踏み入れた。