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「……あたしを誘った理由って、これ?」
「そうそう。これこれ」
お目当ての場所に着き、美空を単車から降ろしてメットを受け取ると、俺は大きく頷いた。
最近できたばかりの小さなクレープ屋。
ずっとここのクレープを食おうと思っていたものの、男一人で入るのは気が引ける。
男数人で入るのはもっと気が引ける。
そこで今日、女連れなら抵抗なく入れることに気付いた俺は美空を誘った。
「クレープ食える?」
「食べられるけど……龍馬って甘いもの好きなの?」
「好き。特に苺クレープが」
「何か顔に似合わないね?」
「別に顔は関係ないだろ。早く食おうぜー」
苦笑いを浮かべる美空の腕を引っ張ると、俺は甘ったるい匂いのする店内に足を踏み入れた。



