「お前さ、エロ本ばっか読んでないでちょっとは勉強しろよ」


俊平は俺の机から飛び出した雑誌をペラペラとめくりながらボソッと呟く。


「うるせぇな。つーか、美空との約束覚えてたんならもっと早く起こしてくれよ」


教室に残っている生徒はまばらで、時計を確認すると授業が終わってから20分も経っていた。


「ハァ?俺にいちゃもんつけんじゃねぇよ。寝てたお前が悪いんだろ?」


おっと、ヤバいヤバい。


これ以上俊平を怒らせるとめんどくさいことになる。


こいつが短気な男だって忘れてた。


俺は気持ちを落ち着かせると、笑顔で俊平に尋ねた。


「なぁ、俊平。お前、今日何で来た?歩き?それとも……単車?」


「単車。それがどうした」


「あーそう、ちょうどよかった。鍵を貸してくれ」


俺がにこやかに笑いながら手を差し出すと、俊平は表情一つ変えずにその手を払い退けた。