……龍馬、絶対あの子の胸見てる。


胸元が大きく開いた服を着ている女の子。


背の高い龍馬の目線から、女の子の谷間はよく見えるはず。


……なんかすごいムカツク。


「あの、今日誰と来てるんですか?よかったら一緒に……――」


すると、突然顔を上げた龍馬とバチッと目があった。



「ごめん、彼女いるから」という答えを待ち望んでいたあたし。


ちょっ……何で笑ってるの?!


でも龍馬はあたしをジーッと見つめながら口の端をクイッと上に持ち上げた。



結局、その一件で映画を楽しむ気持ちが半減してしまった。


映画館を出ても、あたしの腹の虫はおさまってくれない。


「みーそーらちゃん、何でそんなに怒ってんの?」


「……言わなきゃ分かんない?」


「分からない。全然分からない」


ふざけ半分の龍馬をキッと睨むと、龍馬は気まずそうに頭をかいた。