【優サイド】


「川上くんとこうやって一緒に歩く日がくるなんて夢にも思ってなかったよ」


隣を歩く川上くんに視線を向けると、川上くんは顔をしかめていた。


「腕……まだ痛むか?本当に悪かったな」


「もういいよ。見た目ほど重傷じゃないし」


「そうか……」


川上くんはあの後、僕の家に両親と一緒に謝りにやってきた。



「申し訳ありません!」と川上くんの両親は何度も頭を下げた。


その時の川上くんの両親を見る目。


それは今思い出しても胸が痛む。



「俺の親、俺のこと出来損ないだと思ってんだよ。確かに弟の方ができはいいけど」


お父さんが医者でお母さんが看護師。


川上くんが傷害事件を起こした後、家族は遠方の地に引っ越した。


もちろん川上くんを置き去りにして。