「あいつらは俺を怒らせたから入店禁止になっただけ」


「でも、もしそんな勝手なことしてるのが店長にバレたら……」


「大丈夫。店長と知り合いだからバレても問題ないし」


「あっ……そう……」


僕が苦笑いを浮かべると、隣にいた美空がクスクスと笑いだした。


「なんか龍馬と優って……いいコンビだね」


「いやいやいや、それはないね。メソ男と一緒にしないでよ」


「僕だって龍馬と一緒にされたくないよ」


「ハァ?うるせぇーよ、バーカ」


龍馬はそう言いながら僕の肩を小突いた。


少しだけ痛かったけど、誰かとこんな風に絡んだのは久しぶりで。


昨日からさっきまで龍馬に怖いイメージしかもっていなかったのに。


それなのに僕は今、龍馬と一緒に笑い合っていて。


自分でも不思議なくらい、龍馬には素の自分を見せることが出来た。



「あのさ……昨日は本当にごめん。それと、ありがとう」


美空に気付かれないように龍馬にコソっと謝ると、


「俺、過ぎたことは気にしない主義だから。って、俺すげぇーいい奴じゃん!」


そう言って龍馬は鋭い目を細めて笑った。


「自分でいい奴とか言っちゃってるよ……」


僕はボソッとそう呟きながらも、ここへ連れて来てくれた美空に少しだけ感謝した。