「テメェのせいで俺の人生がメチャクチャになっちまったじゃねぇか」


川上の背中をもう一度蹴りあげると、川上はポツリと呟いた。


「……お前が俺との約束忘れるからだろ」


「……ハァ?」


お前約束なんてした覚えねぇよ。


「クソッ!何でもねぇよ!!」


赤色灯は病院の脇でピタリと止まった。


「お前達、そこを動くんじゃないぞ!!」


美空が通報してくれたらしい。


現れた警官に顔をライトで照らされた時、ふとあることを思い出した。


あ……ヤバイ。ようやく思い出したかも。


まさかこのバカ、あれを本気で……


いや、一応確認をとろう。

川上の耳元でそっとあることを囁くと、川上は少しだけ嬉しそうに呟いた。


「……思い出すの遅せぇんだよ」



……ありえない。


こいつ、マジで大バカだ。

「今まで……悪かったな」と申し訳なさそうに謝った川上。


「……ありえねぇよ」


俺は怒りを通り越して呆れ返った。