「……あ?」 川上の手から足を退けると、川上の指があらぬ方向に向いていた。 「あー……、強くやりすぎた」 つーか、歯を折ったのは俺じゃねぇだろーが。 「お前の歯は俺が折ったんじぇねぇぞ。俊平だろ?!」 「……本当に覚えてないのか?!……クソっ……」 地面にあぐらをかきながら悔しそうに折れた指を押さえている川上。 川上の言葉の意味が分からず、考え込んでいると遠くの方から赤い光が近づいてきた。