「だ、だ、だって、敬語遣うなって……りょ、りょ、龍馬が言うから……だから……」


語尾が段々と弱くなる僕を見て、龍馬は鋭い目を細めてニッと笑った。


「あー、そうだっけ?まぁいいや。俺は神谷龍馬。よろしくな、メソ男」


「……僕は島田優(しまだゆう)です。よろしく」


神谷龍馬……か。


顔も声も仕草も全てカッコいいなんて少しだけムカつく。


美空が惚れてしまうのも無理ない。


悔しいけれど男の僕ですら、龍馬をカッコいいと思うんだから。


「で、二人は歌ってく?今日は俺がサービスしてやるよ」


「え……だってさっき満室だって……」


僕が首を傾げると、龍馬は「そんなわけねぇだろ」と笑った。