【龍馬サイド】


「……美空に手出してみろ。絶対に許さねぇぞ」


俺は単車を病院の脇に止めると、人気の少ない場所をくまなく探した。



数分前、携帯に非通知で電話がかかってきた。



「よぉ、神谷。俺が分かるか?」


「川上だな。何の用だ……」


「お前の女、可愛いな。ちょっと貸してくれよ?」


「川上……テメェ、どこにいるんだ……――」


俺が言い終える前に電話は一方的に切られた。



すぐさまメソ男に電話をかけると、美空が病院を出てから15分近く経っていると知らされた。


……頼む、美空。無事でいてくれ……。


もしお前に何かあったら俺は……



「……――美空!!」


何度も大声で美空の名前を呼ぶ。