【優サイド】


「ただいま」


「……おかえりなさい」


玄関先まで出迎えに来た母さんの表情はどこか冴えない。


不安と苛立ちが混ざり合ったような表情をしている。


それはきっと、この間僕が顔を腫らして帰ってきたからだろう。


『……優!!その顔どうしたの?!誰にやられたの?!』


母さんは僕の顔を見るなり顔を歪ませて叫んだ。


でも、僕は何も言わなかった。


母さんは警察に行くと言って聞かなかったけど、僕が無視を決め込んだ。


そのことが母さんには不満のようだ。