「俺さ、最近おかしくなっちまったんだよ」 「何が……?」 あたしがそう聞き返すと同時に、腕をグイッと引っ張られた。 その拍子であたしは龍馬の胸の中にすっぽりと包みこまれる。 「今までは自分が一番だったんだよ。なのに最近じゃ自分よりも大切にしたい奴ができてさ」 「自分よりも大切にしたい……?」 「そう。最近、自分のことよりもそいつのことばっかり考えてる」 龍馬の吐息が耳にかかって、思わず体をビクッとさせる。 龍馬はクスッと笑いながらあたしの髪に指を通して優しく撫でた。