【美空サイド】


「あ……いたいたっ」


校門の前に立っている龍馬に気付いて駆け寄っていく。


大きい背中まで後一歩というところで龍馬が振り返った。


「……ちょっと、龍馬!その傷……どうしたの?!」


あたしはその顔を見るなり息を飲んだ。


龍馬の顔のいたるところにある切り傷。


「別に大したことじゃないから」


かさぶたになっている傷口を指先で確かめながら龍馬はニコッと笑う。



「大したことないって……何があったの?喧嘩……?それとも……」


「だから、大したことじゃないんだって。美空が心配することは何もねぇよ」


顔を強張らせながら龍馬を見ると、龍馬はクスッと笑いながらあたしの頭を撫でた。