兄ちゃんがいなくなり部屋の中はシーンっと静まり返った。 静寂が訪れた途端、気が抜けて全身の傷がズキズキと痛みだす。 「あー……、マジいってぇ……」 プライドを捨てるのがこんなにも痛いものだなんて知らなかった。 川上達に殴られて蹴られて。 抵抗することもやり返すこともできないあの状況はしんどかった。 でも……メソ男が傘を振り回して川上達に向かっていった時、自分のプライドなんてどうでもよくなっていたのかもしれない。 初めて会った時、助けを求めてメソメソ泣いていたあいつ。 でも今は違う。