下手に励まされたりしたらもっと落ち込むことになったかもしれない。 その点は、普段通り接してくれた兄ちゃんに感謝だ。 「……マジ……最悪」 「そんなに落ち込むなって。今までやられたことなんて一度もなかったわけだし、いい経験できてよかっただろ」 兄ちゃんは灰皿に勢いよく煙草を押し付けると、俺の頭をバシッと叩いた。 「何かよくわかんねぇけど、俺はお前が羨ましいわ」 「……こんな目にあってる俺のどこが羨ましいんだか」 兄ちゃんはブツブツと呟く俺を無視して部屋から出ていった。