Black★Joker【完結】


その瞬間、人を殴るのが怖いなどとは言っていられなくなった。


頭に全身の血が一気に逆流したような感覚に襲われる。




「……けんな……」


「ハァ?聞こえねぇよ」


耳に手を当てるジェスチャーで僕をおちょくろうとする川上。


僕は自分の持てる限りの力を傘に込めて、川上に振りおろした。


「……おっと、あぶねぇな」


でも川上は、ひょいっと軽々傘を避けて後ずさりする。


でも何故か僕の手には鈍い衝撃が走った。


何に当たったのか確認しようとした時、


「お前なぁ……」


と龍馬の低くかすれた声がした。