【優サイド】


「龍馬……何で逃げないんだよ!!」


僕は公園の入り口でブルブルと震える体を両腕で抱きしめた。


怒号が飛び交う公園内は遠目でも異様な熱気に包まれている。


龍馬が「走れ!!」と叫んだ時、てっきり一緒に逃げるものだとばかり思っていた。


それなのに龍馬は逃げなかった。


自分が犠牲になって僕だけを逃げす為に。


「何でそこまでしてくれるんだよ……」


学校の帰り道、何気なく龍馬がいるであろうカラオケBOXに行こうなんて考えた僕がバカだったんだ。


龍馬は何度も僕に忠告してくれていたのに。


「お前、狙われてるっぽいし当分バイト先には顔出すなよ」と。