「今すぐ行くからそこで待ってろ」


え……?今すぐ行くって……どこに?


あたしが口に出すより先に、携帯をパタンっと閉じた龍馬は「美空、悪い」とパチンと両手を合わせて謝った。



「急用が入っちゃってさ」


「急用って……?何があったの?」


「ごめん、とにかく急ぎなんだ。この続きはまた今度な?」


「……うん」


あたしが身支度を整えている間、龍馬は何故かずっと険しい表情を浮かべていた。


あの電話は誰からだったんだろう。


そんなことを頭の中の片隅で考えながら、あたしは慌てて身支度を済ませた。



「家まで送ってくから」


慌ただしく龍馬の家を出て渡された黒いヘルメットを被る。


単車にまたがると、龍馬は力強くペダルを蹴った。