「……ったく」
龍馬は額に手を当てて何かを考え込んでいる。
「お兄ちゃん、全然怖い人なんかじゃなかったよ」
龍馬に先入観を植え付けられていたからもっと恐ろしい人かと思ってた。
まぁ、確かに顔の造りが整いすぎていて、怖いとは思うけど……。
「いや、俺にとっては世界一怖い兄貴だよ」
「……そうかなぁ……」
「美空はまだ分かってないんだって」
龍馬は苦笑いを浮かべると、「でも世界一優しい兄貴だよ」とフォローを入れた。
世界一優しくて、世界一怖いお兄ちゃん?
「なんかよくわからない……」
あたしはポツリと呟いた。



