その部屋から流れ出た白い煙は廊下まで漂ってくる。 その煙が何であるか考える間もなく、部屋の主が顔を出した。 「おい、龍馬」 「あー……、兄ちゃんどうした?」 龍馬はその場に立ち止まって苦笑いを浮かべる。 「お前、俺の単車に勝手に乗っただろ?」 「あー……、そうだっけ?俺、バカだから忘れちゃったわ」 「バカなのは前から知ってる」 「……分かったって。これで勘弁してよ」 龍馬はハァと溜息をつくと、ポケットの中から新品のセブンスターをとり出すとお兄ちゃんに向かってポンッと投げた。