「……美空!だから……僕は……!!」
受付の前でそう言い掛けながら顔をあげた瞬間、僕の視界に信じられない人物が飛びこんできた。
驚きすぎて、息をするのも忘れてしまう。
「……いらっしゃーい、メソ男君。彼女連れていい御身分だな」
その人物は僕を見るなり口の端をクイッと上に持ち上げた。
鋭い瞳、低くかすれた声。
昨日の不良だ……。
顔は笑っているのに目が笑っていない。
こめかみ付近に貼ってある絆創膏に気付いた瞬間、全身に嫌な汗が噴き出して、呼吸が荒くなった。
ヤバい、絶対にヤバい。
でも今なら逃げられるかもしれない。
そうだ、逃げるしかない。



