Black★Joker【完結】


「……美空!だから……僕は……!!」


受付の前でそう言い掛けながら顔をあげた瞬間、僕の視界に信じられない人物が飛びこんできた。


驚きすぎて、息をするのも忘れてしまう。



「……いらっしゃーい、メソ男君。彼女連れていい御身分だな」


その人物は僕を見るなり口の端をクイッと上に持ち上げた。


鋭い瞳、低くかすれた声。


昨日の不良だ……。


顔は笑っているのに目が笑っていない。


こめかみ付近に貼ってある絆創膏に気付いた瞬間、全身に嫌な汗が噴き出して、呼吸が荒くなった。



ヤバい、絶対にヤバい。


でも今なら逃げられるかもしれない。


そうだ、逃げるしかない。