龍馬の家は住宅街の真ん中にあった。 「今日、兄ちゃん家にいるみたいだわ」 龍馬はガレージに停められていた黒塗りの単車に目を向ける。 「龍馬の……お兄ちゃん?」 あたしは二階建ての家を見上げて息を飲んだ。 ……お兄ちゃんの存在をすっかり忘れてた。 この中に龍馬が恐れているお兄ちゃんがいるんだ。 「そんな緊張すんなって。別にとって食われるわけじゃあるまいし」 「そんなこと言ったって……」 「でも、一つだけ心配なことがある」 龍馬はクスッと笑いながらあたしを見つめる。