【美空サイド】


「ちょっと、大丈夫?!」


龍馬がトイレに立ったタイミングを見計らって、あたしは真っ赤になって俯く涼子の顔を覗き込んだ。


「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」


店の中は快適な温度なのに、しきりに額の汗をタオルで拭いている涼子に苦笑いを浮かべる。


「……緊張するなって方が無理!!まともに顔なんて見れないから!!」


涼子は一度顔を上げて声を荒げると、胸に手を当てて大きく息を吐いた。




こんなことになってしまったキッカケは数時間前に届いた龍馬からのメールにあった。


『暇なら放課後遊ぼうぜ』


残念だけど、今日は涼子と買い物に行く予定があって。


「彼氏から?」


「うん。今日遊ぼうって。でも断るから安心して?」


携帯をいじるあたしの横で涼子はニヤッと意味深な表情を浮かべた。


「あたし、美空の彼氏に会ってみたい」


涼子がそんなことを言いだし、龍馬に確認をとるとあっさり「OK」という返事が来た。


そして……今に至る。