Black★Joker【完結】


あの時は龍馬が来てくれて難を逃れたけど、もう龍馬が助けてくれることはない。


自分ひとりで何とかするしかないんだ。



「本当に……すいませんでした……」


謝っているうちに、自分が情けなくなってきた。


龍馬だったらきっと言い返すんだろうな……。


それなのに僕は謝ってばっかりだ。



「謝って済めば警察なんていらないんだよ。ちょっと来いよ」


男は僕の腕を掴んで人気の少ない場所へと引っ張る。


掴まれている腕がジンジンと痛みだした。



確かに下を向いて歩いていたのは僕が悪い。


だけど、病院代を請求されるほど相手にダメージを与えたとは思えない。


それに、尻餅をついたのは僕の方だ。





「離して……ください……」


謝っているばかりじゃダメだ。


このままじゃいつまでたっても龍馬にメソ男呼ばわりされる。



「あぁ?!聞こえねぇよ」


言うんだ……。ちゃんと前を向いて言い返すんだ。




「……離……せ……手を離せ!!」


大声でそう叫んだ瞬間、男は僕の手をパッと離した。