あの時は龍馬が来てくれて難を逃れたけど、もう龍馬が助けてくれることはない。
自分ひとりで何とかするしかないんだ。
「本当に……すいませんでした……」
謝っているうちに、自分が情けなくなってきた。
龍馬だったらきっと言い返すんだろうな……。
それなのに僕は謝ってばっかりだ。
「謝って済めば警察なんていらないんだよ。ちょっと来いよ」
男は僕の腕を掴んで人気の少ない場所へと引っ張る。
掴まれている腕がジンジンと痛みだした。
確かに下を向いて歩いていたのは僕が悪い。
だけど、病院代を請求されるほど相手にダメージを与えたとは思えない。
それに、尻餅をついたのは僕の方だ。
「離して……ください……」
謝っているばかりじゃダメだ。
このままじゃいつまでたっても龍馬にメソ男呼ばわりされる。
「あぁ?!聞こえねぇよ」
言うんだ……。ちゃんと前を向いて言い返すんだ。
「……離……せ……手を離せ!!」
大声でそう叫んだ瞬間、男は僕の手をパッと離した。



