そのあまりの早さに、俺は思わず目をパチパチとさせた。


「……どちら様?」


扉から顔を出した中年の女。


少しだけメソ男の顔に似ているところからすると、メソ男の母親だろう。


「あー……、どうも。俺、メソ……じゃなくて、えっと……」


ヤベェ、あいつなんて名前だっけ。


目を左右に動かして考え込んでいると、「優のお友達?」とメソ男の母親が俺に助け船を出してくれた。


「あぁ、そうそう。お友達です。おばさん、初めまして」


ヤバい、俺すげぇ丁寧に挨拶できてんじゃん。


俺……やっぱやればできる子だわ。


メソ男の母親は無言のまま後ろ手に玄関の扉を閉めると俺に歩み寄った。