「今日ね、あの子に釘をさしておいたから。優に近付くなって」 翌日、不安に駆られながらも学校に着いてクマの姿を探した。 クマを見つけて「クマ!」と声を掛けながら肩をポンッと叩く。 振り返ったクマは僕の顔を見るなり目を反らした。 「……クマ、ごめん」 クマは黙ったままギュッと唇を噛み締めて辛そうな顔をしていた。 母さんがクマに何を言ったのかは分からない。 だけど、クマが母さんによって傷付けられたのは確かだ。 僕はあの日以来、クマと一度も言葉を交わすことなく中学を卒業した。