Black★Joker【完結】


「なんか血出てんだけど。どういうこと?」


「何のこと?知らねぇよ」


ニヤけている男に視線を向けると、男ははめていた銀色のメリケンを外してポケットに押し込んだ。


「ひぃっ……!!」


メソ男は俺を見るなり顔を引きつらせて小さな悲鳴を上げる。


「お前、財布置いてけよ」


すると、男達は互いに目配せして口の端をクイッと持ち上げながら言った。


いつの間にか男達のターゲットはメソ男から俺に変わってしまったようだ。


「ほら、早く出せよ」


不敵な笑みを浮かべる男は俺の前に片手を差し出す。



「あのさ、殴られて血出てんの俺なの。お前らが財布置いてけよ」


「ハァ?俺らが殴った証拠なんてどこにあんだよ?」


「メリケンに俺の血がついてんだろーが」



そう答えた瞬間、メソ男が俺達の間に割って入った。