「さっき逃げた男に伝えとけ。夜道には気をつけろってな」


何なんだよ、夜道って。ドラマの見すぎじゃねぇの?


川上はそう言うと、不敵な笑みを浮かべる。


「あいつは関係ないだろ?俺のパシリをいじめんな」


「あいつが神谷のパシリかどうかなんて俺には関係ないんだよ」


めんどくせぇ奴。俺に付きまとうなんてどんだけ暇人なんだよ。


思わず顔を歪めると、川上は「じゃあな」と手を挙げてヒラヒラと挑発するように手を振った。


「……チッ」


川上の背中に舌打ちをすると、俺はすぐさまポケットの中の携帯を取り出して電話をかけた。