「ねぇ、何か知らない?学校で変わったこととかない?」
「いえ、あたしは……」
「どんなことでもいいのよ。美空ちゃんにしかこんなこと聞けなくて」
優がバイトを始めたことは隠しておいた方がいいだろう。
優がおばさんに隠し事をするなんて。
何か理由があるに違いない。
だけどおばさんの質問攻めはなかなか止まらない。
すると、戻ってきたお母さんが
「はい」
とあたしの目の前にオレンジジュースの入ったグラスを置いた。
「ありがと」
お礼を言ってグラスを手に取る。
タイミング良くお母さんが来てくれてよかった……。
おばさんに対して負い目があるせいか、緊張で手の平に嫌な汗をかいてしまった。
あたしはカラカラに乾いていた口の中にオレンジジュースを流し込んだ。



